源氏物語の「紅葉賀」の情景のままに色づく、奥の庭の紅葉
嵐山は古くから紅葉の名所として知られ、白河上皇の和歌に「大井川 ふるき流れを たづねきて 嵐の山の もみぢをぞ見る(*1)」とあるように、歌枕として数多くの和歌に詠まれている場所です。
白砂と燻し瓦で模した枯山水が広がる奥の庭では、樹齢400年のオオモミジと小倉山が錦の絹織物のように色づく様子が楽しめます。光源氏が雅な舞を披露した場面と奥の庭で眺める景色が重なり、源氏物語に描かれる風流な一幕へと誘われます。
(*1)「宇多法皇や醍醐天皇も訪れた、ここ大井川の由緒ある流れを訪ねて来て、嵐山に散り乱れる紅葉を見ることよ」の意味
【源氏物語の第7帖「紅葉賀」の一節(*2)】
木高い紅葉の木の陰に、40人の垣代が見事に拭きたてる楽奏の音と、それに響きあう松風が、本物の深山おろしのように吹き乱れて聞こえる。色とりどりに散りまどう紅葉の中から、源氏の君と頭中将(とうのちゅうじょう)の青海波の舞が輝かしく出で来るさまは、恐ろしいまでに美しい。(中略)物の見分けがつくはずもない下人など、木の下や、岩陰、築山の木の葉に隠れて見物している者までもが感動し、多少でも情緒をわきまえる者は、涙を落とすのであった。
(*2)生田享子「雅楽と『源氏物語』」(特集 学習院大学公開講座「源氏物語千年紀記念シンポジウム」の記録)
「青海波」の優美華麗な舞姿と装束
源氏物語の「紅葉賀」で光源氏が頭中将とともに舞ったのは、青海波という舞です。青海波は、舞姿と装束ともに雅楽の舞の中で最も優美華麗であるといわれています(*3)。装束は青海波の舞のみで用いられるもので、すみずみまで波と千鳥が刺繍などで描かれ、舞具である太刀の鞘(さや)にまで波と千鳥が施されているのが特徴です。
特に上着には波を幾重にも重ねた青海波紋に96羽もの千鳥がすべて異なる姿で刺繍されています。ゆるやかに袖を打ち返す所作で寄せては返す波を表現する舞姿が、一層優美さを演出します。
(*3)文化デジタルライブラリー(独立行政法人日本芸術文化振興会)
雅楽器が奏でる幽玄の音色
雅楽は平安時代のころに確立し、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている日本の伝統文化です。古くより宮中の儀式などで演奏され、皇室とともに伝承されてきました(*4)。本催しでは、9名の奏者が笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)をはじめとする雅楽器を演奏し、幽玄の音色とともに雅な舞を引き立てます。
(*4)宮内庁公式ホームページ
「星のや紅葉賀」概要
開催日: |
2022年11月26日、27日、28日 |
時間: |
9:30~10:30 |
料金: |
無料 |
定員: |
最大8名(最少催行人数1名) |
場所: |
星のや京都 |
対象: |
宿泊者 |
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