戦後80年。先人達が命懸けで遺した”普通の日常”の尊さを想う。映画「雪風 YUKIKAZE」2025年8月15日(金)より全国公開。

「生きて帰る 生きて還す」
多くの命を救い続けた、駆逐艦「雪風」の史実に基づく物語『雪風 YUKIKAZE』が戦後80年の節目となる2025年8月15日、全国公開される。公開に先立ちソニー・ピクチャーズ試写室でマスコミ先行試写会が行われた。

太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」。戦場で海に投げ出された多くの仲間の命を救い帰還させ、戦後まで生き抜き「幸運艦」と呼ばれた雪風と、激動の時代を懸命に生きる人々の姿を壮大なスケールで描く。

主演は「雪風」の艦長・寺澤一利を演じる竹野内豊。先任伍長・早瀬幸平を玉木宏が演じるほか、奥平大兼、田中麗奈、石丸幹二、益岡徹など実力派俳優が共演。そして戦艦大和と運命を共にした帝国海軍・第二艦隊司令長官、伊藤整一を中井貴一が圧倒的な存在感で演じ切る。

時代が再び、分断と暴力に揺れる現代。本作は「同じ過ちを繰り返す道を歩んではいないか」と、彼らが命をかけて守りたいと願った”今”を生きる私達に問いかける。戦後80年、戦争の記憶が薄れゆく今だからこそ、尊い平和の価値を未来に繋ぐ作品『雪風 YUKIKAZE』を多くの方にご覧いただきたい。

史実に基づいた駆逐艦「雪風」のリアルな描写

敵艦の魚雷をかわす駆逐艦雪風

太平洋戦争を通じて、雪風の乗組員の死者数は信じ難い事にわずか9人であったと言う。本作ではその雪風が如何にして戦場を潜り抜け、多くの人々の命を救ったかを史実を元にリアリティを持って描き切る。

実は雪風の歴代艦長は10人。彼らの史実を一人の架空の人物として描いたのが寺澤一利である。印象的なシーンとして、寺澤が三角定規を用いて操艦し敵ミサイルをかわす場面があるが、これは4代目艦長の寺内の操艦術に基づいたものだと言う。寺内の操舵術は豪快そのもの。鉄兜のみでハッチから顔を出し、三角定規で敵を目測、航海長を足で蹴って右へ左へ舵を切らせた。この様な艦長のもとで乗組員の士気は高かったと言う。

この様な”達人技”で激戦の地を潜り抜けてきたのは信じがたい事実だが、いかにも日本人らしい心技体と直感を兼ね備えた艦長であるともいえる。

日本人らしいと言えば、艦内の束の間のシーンでは、日本人らしい暖かく素朴な船員同士の交流が描かれる。その姿は現代の私たちにとっても親近感あふれる日本人そのものであり、その様な市井の人々が最前線に立たされる戦争の悲惨さに心を打たれる。

無謀な大和の海上特攻作戦に反対した第二艦隊司令長官・伊藤整一

第二艦隊司令長官・伊藤整一/中井貴一

戦艦大和と最後を共にした海軍第二艦隊司令長官・伊藤整一は沖縄への海上特攻作戦に当初、「無謀ではないか」と反対した。伊藤は最終的に命令を受け入れ大和と共に沖縄へと向かったのだが、勝ち目のない無謀な作戦に舵を切った戦時下の日本はどこへ向かっていたのか。その姿は今の日本とも重なり暗澹とする。

しかし伊藤は作戦中に戦況を冷静に鑑みて作戦の中止を命じた。これは連合艦隊および軍司令部の指示を受けずに、現場司令長官が独断で作戦を中止した唯一の事例であり、勇気ある異例の決断だった。

多数の若き乗組員を退艦させ、伊藤はこう言った。「この国の未来には、必ず若い力が必要になる。」彼もまた、戦時下で多くの乗組員の命を救った一人であった。

平和な時代の「普通」という奇跡の価値を見つめ直すべき時

戦時下で多くの仲間の命を救い続けた「雪風」乗組員

彼らが遺した尊い今を生きる私たち。振り返ってその世界を彼らに誇ることができるのか、自らの胸に問わずにはいられない。現代の日本人は生きづらさを抱え、経済的格差は拡大の一歩をたどり、人々の心の分断は広がるばかりだ。

戦後80年を迎える節目の今、太平洋戦争当時の愚かな戦争指導者により破滅の道を歩んだ様に、同じ轍を踏んではいないだろうか。雪風の様に弱者を救い、伊藤の様に勇気ある行動をとる事が出来るだろうか。本作は現代を生きる私たちに訴えかける。

寺澤一利の印象的なセリフがある。「普通がいい。」戦時中、多くの方々が夢見、そしてついに手にすることが出来なかった平和な時代の「普通」。その儚い奇跡の価値を、私達は見つめ直すべき時に来ているのである。

「雪風 YUKIKAZE」作品紹介

たった80年前。平和な海が戦場だった時代。どんな時も、激戦により海に投げだされた仲間たちを救い、必ず共に日本にかえって来た一隻の駆逐艦があった。その名を「雪風」。いつしか海軍ではこの艦を“幸運艦”と呼ぶようになる―。

その機動性を生かして先陣を切って魚雷で戦い、艦隊を護衛し、さらに兵員や物資の輸送、上陸支援、沈没艦船の乗員救助など、海の何でも屋、海軍一の働き手として数々の戦場で活躍。戦後は「復員輸送船」として約1万3000人を日本に送り返した。史実を背景に、太平洋戦争の渦中から戦後、さらに現代へとつながる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿を壮大なスケールで描き出す。

「雪風」艦長・寺澤一利役/竹野内豊
「雪風」先任伍長・早瀬幸平役/玉木宏
「雪風」水雷員・井上壮太役/奥平大兼
寺澤一利の妻・寺澤志津役/田中麗奈
早瀬幸平の妹・早瀬サチ役/當真あみ

[雪風 YUKIKAZE 上映時間:120分 ]
映画『雪風 YUKIKAZE』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
劇場情報

【出演】
竹野内豊 玉木宏 奥平大兼 當真あみ
藤本隆宏 三浦誠己 山内圭哉 川口貴弘 中林大樹 田中美央
田中麗奈 益岡徹 石丸幹二 中井貴一

【スタッフ】
企画:小滝翔平/髙橋紀成
脚本:長谷川康夫
撮影監督:柴主高秀 音楽:岩代太郎 VFX 監督:オダイッセイ 監督:山田敏久
協力:防衛省 海上自衛隊

【主題歌】
「⼿紙」Uru(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)

【配給】
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス/©2025 Yukikaze Partners

【公開日】
8月15日(金)より全国公開

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