【東海道五十三次ふらっと-flat-完歩】Vol3.品川~川崎宿 <前編> 鮫洲の親分とか東海道の追いはぎとか

『東海道五十三次ふらっと-flat-完歩』とは…
ふとしたきっかけで東海道を歩き、その魅力に目覚めた筆者が、旧東海道に沿って、五十三次、約500㎞をテキトーに歩き、永い歳月をかけてついに完歩してしまった感動巨編!(ただし全米は泣かない)。

時間がある時にぶらっと出かけて、気の向くままに歩くシステム。よって歩く順番もランダム。名所旧跡を語るより、街道沿いの人々や風俗(変な意味ではない・・・と思う)、B級スポットなどを、ときどき妄想も入れつつ紹介し、いつか現代の十返舎一九と呼ばれたい。

東海道の最初の宿場町「品川」から川崎に向かうと、下町風情はさらに深まります。お祭りがあったり、おどろおどろしい史跡があったり、ちょっと変わった追いはぎに襲われたり・・・いろいろあるなあ、東海道。

鮫洲から一路、川崎宿へ!

歌川広重作 東海道五拾三次 品川 六郷渡船 │ 暴れ川として有名な六郷川を渡る人々。当時、流行佛(はやりぼとけ)として川崎大師へ多くの人が参拝しました。遠くに見える白一色で描かれた富士山の存在感が広重の非凡な感性を伺わせる。

鮫洲八幡神社例大祭に遭遇

青物横丁を過ぎると、次は鮫洲の商店街に入ります。
どうやらこの日は鮫洲八幡神社例大祭で、最終日のこの日は、これから御神輿の宮納めが行われるようでした。



男たちが熱く神輿を担ぐ 鮫洲八幡神社例大祭 - Youtubeより引用 –

そとからの人間はほとんど来ることもない、地元の町会だけの、小さな、しかし伝統あるお祭り、という感じですが、町じゅう総出で祝っているのが感じられます。

そして、この町の人々がいいのです。
(怖くて前からは撮れなかったのですが)この着物を着たうしろ姿の親父さん、相当渋いです。
もうかなりお年を召している感じがしましたが、どちらの親分さんですか?というくらい風格があって、かっこいいのです。

やはりこのあたりの人は昔ながらの下町気質の方々なんでしょうか。
自転車ですれ違うお母さんも、そこらへんの新興住宅街のお母さんとは乗り方が違います。
かなり気合の入ったこぎ方で、フルスピードで飛ばしてきます。
あっ、スカートの中、見えちゃったよ。
もちろん意図せずところで、不覚にも。。。

こういうのも一本向こうの第1京浜沿いには絶対にない、旧東海道の町ならではの風景かと思います。
旧東海道って、やっぱ、いいなあー。

鈴ヶ森刑場遺跡と東海道の不思議な追いはぎ

さて、鮫洲、立会川と過ぎ、旧東海道が再び第1京浜と合流する手前になんだかおどろおどろしい史跡に巡り合いました。
なんでもここ鈴ヶ森には、江戸時代に刑場があり、220年間で10万人とも20万人ともいわれる人々がここで処刑されたようです。僕は見なかったのですが、火炙用の鉄柱や磔用の木柱を立てた礎石などもまだ残されているそうです。

僕は霊感とかヤマカンとか第六感とか(古っ!)を全く持ち合わせていないので、こういうのを見ても何ともないのですが、持ってる人はやっぱりビンビン来るのでしょうか?

そういえば、霊には出会わなかったのですが、不思議なお婆さんには出会いました。鮫洲の街を過ぎたあと、どこかの公園の前あたりで、そのお婆さんは僕を待ち構えていたかのように近寄ってきてこう言いました。

※以下敬称略
婆 「ここから新宿御苑までは遠いですか?」
僕 「新宿御苑っ、ここからだと結構遠いですねえ・・・」
婆 「遠いですよね、そうですよね。近頃足の調子がよくないもんで、バスだと大変でねえ・・・」
僕 「・・・・・」
婆 「だからタクシー代、恵んでもらえないかねえ・・・」

いきなりど真ん中のストレート、きました。
しかしタクシー代って、物乞いにしてはちょっと贅沢すぎるんでないかい?
百歩譲って、食べるものがなくてぇぇぇぇ、といわれれば心動かされることがないとも言えませんが、タクシー代は、ねぇ。
タクシーだったら俺だって乗りたいし。

ということで東海道の追いはぎ(というほどのものではないか・・・)は丁重にお断り申し上げて駆逐しました。
いろいろあります、東海道。

Vol4.へ続く
< Vol2.日本橋~品川宿 <後編> 北品川の路地に後ろ髪ひかれて

新着

新着

注目の記事

熊本県

日本情報

【阿蘇郡南小国町】黒川温泉周辺に登場した新施設やリニューアル店のご案内

黒川温泉(熊本県南小国町)とその近郊で最近新しくオープンした施設やリニューアルしたお店をご紹介します。どのスポットも黒川温泉街から車で約5~10分圏内にあるので、温泉巡りの合間に気軽に立ち寄れます。老舗旅館が手掛ける新店舗や、自然豊かな里山カフェ、地元食材にこだわったレストランなど、多彩な魅力が満載です。黒川温泉の新たな楽しみとしてチェックしてみてください。

栃木県

日本情報

渋滞を避けて早朝の奥日光の紅葉を楽しむ「SPACIA X NIKKO CRUISERが紡ぐ早朝紅葉鑑賞の旅」発売

2025年10月より日光エリアにおける新たな二次交通サービスとして、ハイグレード貸 切バス「SPACIA X NIKKO CRUISER」の運行を開始いたします。 運行開始を記念し、東武トップツアーズ株式会社では「SPACIA X NIKKO CRUISERが紡ぐ 早朝紅葉鑑賞の旅」を企画、2025年9月12日(金)より発売いたします。

全国

イベント

戦後80年。先人達が命懸けで遺した”普通の日常”の尊さを想う。映画「雪風 YUKIKAZE」2025年8月15日(金)より全国公開。

「生きて帰る 生きて還す」
多くの命を救い続けた、駆逐艦「雪風」の史実に基づく物語『雪風 YUKIKAZE』が戦後80年の節目となる2025年8月15日、全国公開される。公開に先立ちソニー・ピクチャーズ試写室でマスコミ先行試写会が行われた。

太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」。戦場で海に投げ出された多くの仲間の命を救い帰還させ、戦後まで生き抜き「幸運艦」と呼ばれた雪風と、激動の時代を懸命に生きる人々の姿を壮大なスケールで描く。

主演は「雪風」の艦長・寺澤一利を演じる竹野内豊。先任伍長・早瀬幸平を玉木宏が演じるほか、奥平大兼、田中麗奈、石丸幹二、益岡徹など実力派俳優が共演。そして戦艦大和と運命を共にした帝国海軍・第二艦隊司令長官、伊藤整一を中井貴一が圧倒的な存在感で演じ切る。

時代が再び、分断と暴力に揺れる現代。本作は「同じ過ちを繰り返す道を歩んではいないか」と、彼らが命をかけて守りたいと願った”今”を生きる私達に問いかける。戦後80年、戦争の記憶が薄れゆく今だからこそ、尊い平和の価値を未来に繋ぐ作品『雪風 YUKIKAZE』を多くの方にご覧いただきたい。

広島県

芸術

下瀬美術館「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展/インタビュー後編:吉村良介氏, 高橋紀成氏, Mario Christiano氏, Stefano Pesce氏

2023年に広島県大竹市に開館した下瀬美術館。厳島、瀬戸内海に面し、世界的建築家である坂茂(ばん・しげる)氏が設計を手がけた当美術館は、2024年12月に「世界でもっとも美しい美術館」としてヴェルサイユ賞を受賞し大きな注目を集めた。

この下瀬美術館で「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展2025年4⽉26⽇(土)から7⽉21⽇(⽉・祝)が開催され、開幕10日で来場者数1万人を越え、同館最速の記録となり盛況を博している。

1980年〜2000年生まれのアジアの若手アーティストの作品群により構成される本展はヴェルサイユ賞受賞を記念して行われる特別展示であり、下瀬美術館にとって初の現代芸術展というチャレンジングな展示でもある。

前編に続き、下瀬美術館の代表理事を務める吉村良介氏、同じく下瀬美術館のボードディレクター高橋紀成氏、そしてイタリアNo1ギャラリーGalleria ContinuaオーナーMario Cristiani氏、Mark Tobey財団ディレクター兼アートアドバイザー/Stefano Pesce氏のインタビューをお届けします。

広島県

芸術

下瀬美術館「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展/インタビュー前編:チーフキュレーター齋藤恵汰氏

2023年に広島県大竹市に開館した下瀬美術館。厳島、瀬戸内海に面し、世界的建築家である坂茂(ばん・しげる)氏が設計を手がけた当美術館は、2024年12月に「世界でもっとも美しい美術館」としてヴェルサイユ賞を受賞し大きな注目を集めた。

この下瀬美術館で「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展2025年4⽉26⽇(土)から7⽉21⽇(⽉・祝)が開催され、開幕10日で来場者数1万人を越え、同館最速の記録となり盛況を博している。

1980年〜2000年生まれのアジアの若手アーティストの作品群により構成される本展はヴェルサイユ賞受賞を記念して行われる特別展示であり、下瀬美術館にとって初の現代芸術展というチャレンジングな展示でもある。

HYAKKEIは開催直後の当展を訪問し、チーフキュレーターである美術家の齋藤恵汰氏のインタビューを敢行。「日本の美術界に一石を投じる企画にしたかった」と語った。

ピックアップ

ピックアップ