知られざる水の都、東京
歌川広重作 東海道五拾三次 品川 日之出 │ 暗いうちに日本橋を立ち、朝焼け頃に品川宿へ入る大名行列が描かれている。奥には桜の名所御殿山が、目の前には江戸湾が広がっています。
銀座をあとに、南へと歩みをすすめます。
日曜日なので、オフィス街では人もクルマもあまり見かけません。
ゆりかもめ新橋駅下をくぐって浜松町付近に差し掛かると屋形船が見えてきます。
実は東京は水の都でもあります。
東京湾に流れ込む河川のほかにも多くの運河が縦横に張り巡らされているので、昔は多くの舟が行き交っていたのでしょう。
実は今、この東京の河川や運河から東京湾まで、気軽にめぐることができる「東京ウォータータクシー」という乗り物があるのです。
僕も1度だけ乗ったことがあるのですが、これが面白かった。
日の出桟橋から天王洲や田町の区間を結ぶ定期便もあるのですが、時間でチャーターすれば、どこに行くのも自由自在。狭い運河をズンズン進んで、電車や車からはけっして見ることのできない東京の街をめぐるのはめっちゃ楽しかったですよ。
>東京ウォータータクシー公式サイト
歩みを進めると、かつて東海道から江戸への入り口であった高輪大木戸跡があります。ここ実は今、注目の場所なのです。なぜ注目スポットなのか、もうおわかりですよね?
もうこれで最後、といわれる山手線の新駅「新高輪ゲートウェイ」駅が高輪大木戸跡のすぐ隣に、この春開業(3/14暫定開業)するんですよね!
それを見越して、すでに地価もぐーんと跳ね上がったのでしょうか、近くにBMWばっかりの駐車場を見つけました。
すげーな山手線新駅効果、このあたりの人はみんなもう土地成金になっちゃったの?
うわー、この辺に300坪くらい土地でも買っとけばよかった、くそー、ちくしょー、ばかばかばか!と地団駄を踏み踏み歩いていると、すぐにこんな建物が。
目の前のBMWの販売店が改装中なので、このBMWくんたちはみんなこの駐車場に一時引っ越ししていたんですね。
どうやら山手新駅成金幻想は、僕の早とちりのようでした。
さすが東海道の宿場町「北品川」
北品川の駅前から旧東海道の品川宿に入ると、日本橋を出て約10km、ようやく旧街道らしい雰囲気になってきました。
歌川広重作 東都名所 御殿山花見品川全図 │ 御殿山から見下ろした当時(天保(1830~44)後期頃)の品川の様子。桜を楽しむ庶民と品川宿の隆盛が見事に描かれている。
品川駅前、特に港南口は大きく再開発され、インテリジェントビルが立ち並んでいますが、旧東海道の北品川本通りに入ると両側に並ぶお店も、急に庶民的になります。このあたりには外国人向けの安いゲストハウスもありそうですね。
場所は品川ですが、感覚的には上野、浅草あたりの下町とほとんど変わりません。
なにより街道から脇路にそれていく路地がとにかく渋いんです。
おー、ちょっとここらで一杯やってってもいいんじゃないか、と思ったのですが、まだ歩き始めて2時間ちょっと。
さすがに日本橋をスタートして品川で1日終了!ってわけにはいきませんよね。
なにせ、かつての旅人は1日約40キロを歩き続けて12泊13日で江戸から京都まで到着したと言います。
そのペースだと今日は保土ヶ谷か戸塚まで行くことになります。
いやいや、さすがにそれは無理だけどせめて半分の川崎くらいまでは行きたいぞ!
ということで酒は呑まずに涙を飲んで先に進みます(笑)
品川橋で目黒川を越えると、やがて青物横丁です。
京急線に乗るといつも「青物横丁」という駅名が気になっていたのですが、こうして実際に来るのは初めてでした。
この名前は、昔、農民がこの地に青物(野菜や山菜など)を持ち寄って市場を開いたことに由来するらしいのですが、商店街のネオンもよく見ると確かに青物っぽく作ってありました。