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【東海道五十三次ふらっと-flat-完歩】Vol11.大磯宿~小田原宿 <前編> 吉田茂とか幸せじゃんピエロとか

『東海道五十三次ふらっと-flat-完歩』とは…
ふとしたきっかけで東海道を歩き、その魅力に目覚めた筆者が、旧東海道に沿って、五十三次、約500㎞をテキトーに歩き、永い歳月をかけてついに完歩してしまった感動巨編!(ただし全米は泣かない)。

時間がある時にぶらっと出かけて、気の向くままに歩くシステム。よって歩く順番もランダム。名所旧跡を語るより、街道沿いの人々や風俗(変な意味ではない・・・と思う)、B級スポットなどを、ときどき妄想も入れつつ紹介し、いつか現代の十返舎一九と呼ばれたい。

この日は「明治政界の奥座敷」と呼ばれた大磯からのスタート。吉田茂の立派な別邸は想定通りなんだけど、「血洗川」とか「幸せじゃんピエロ」とか、想定外のものもたくさん発見しました。

吉田拓郎?戦車?いや、茂

家を出て、今回の出発地、大磯に着くまでに片道約2時間、交通費は往復で3000円くらい。
テキトー散歩にしては大袈裟でちょっと贅沢なものになってきました。
なんとなく、日帰り散歩は今日で終わりのような気がします。

さて、「明治政界の奥座敷」と言われ、前回の散歩で文化の薫り高い町だと改めて実感した大磯。

国道1号の松並木を西へ進むと、まず現れるのは伊藤博文の別邸であった滄浪閣。

当時は大磯プリンスホテルのレストランと婚礼式場になっていましたが、現在は閉館し、周辺の「旧大隈重信邸」「旧陸奥宗光邸」とともに「明治記念大磯邸園」(仮称)として今後整備されるようです。

その先で「血洗川」という名前の小さな川を渡ります。

おいおい、明治政界の奥座敷のくせになんだか穏やかじゃないぞ大磯!ダメだろう別荘地にそんな血なまぐさい名前つけちゃ、と思っていたらこれはこの近くの西長院にある「身代わり地蔵」の伝説から由来しているのだとか。

西長院には斬られた人の身代わりになって傷を受け、血を流し、多くの人の命を救ったと言われるお地蔵さんがあり、現在でも刀傷の痕や頭部が接合された痕などが残っているそうです。

その地蔵が流した血の付いた刀を、この川で洗ったことから「血洗川」と名付けられています(諸説あり)。

川を渡るとすぐに旧吉田邸があります。

吉田って拓郎か?それとも全国の酒場放浪する男か?いやいや、日本で47番目に有名な島根県観光大使の吉田くんかもしらん。まさか戦車じゃないよな?まあ普通は茂だろうけど、と思っていたら見事に茂だったので、なんとなくよかった!

そう、旧吉田邸とは、戦後日本を代表する政治家、吉田茂の別荘跡地。

茂さんの銅像の向こうには相模湾が広がっていて、振り返ると(何式というのかわかりませんが)素晴らしい庭園がありました。

一国の首相を何期も務めた戦後を代表する政治家ですから、このくらいの別荘を持っていても別に贅沢だ、とは思いませんが、今の政治家でこんな別荘持っている人はいなそうなので、昔の政治家はやっぱりスケールが大きかったんだなあ、と思います。

あ、今の政治家でも筑豊の炭鉱王の血を引く麻生太郎さんなら持ってそうだな、と思ったら麻生さんは吉田茂の孫でしたね・・・

平塚市民の元気の源「幸せじゃんピエロ」

吉田邸前の城山公園の切通を下った先、二宮の手前あたりだったでしょうか、目の前に初めて箱根の山塊が姿を現しました。

遠くない時期に(というか、たぶん次回)あれを越えなきゃいけないのか!

なーんて考えていると、なにやら目立つ看板を発見しました。

最初は、どこぞのイロモノ系政治家の看板かと思いましたが、調べてみると地域に根差した演歌歌手のようです。

「幸せじゃん」というのは政治的キャッチコピーではなく、大門三郎さんの代表曲のタイトルとのことでした。

僕がここを訪れた当時、大門さんは毎朝ピエロの格好で平塚駅に立ち「イェーイ、イェーイ、今日もいいことありますように」と朝から市民を元気づけてくれる「幸せじゃんピエロ」として知られていました。

黄色のジャケットに紅白の縦じまズボンという衣装で親指を立て、笑顔で伝えていたのは「何があっても大丈夫!」。

仕事や学校に急ぐ人の多くは無言で通り過ぎていきますが「無視されて当たり前。応じてくれる人が1%でも感謝」。

毎日見てると、なんだかあったかくなってホントに元気になる、という声もたくさんあったのですが、残念ながら2018年末で10年間にわたる活動を終え、郷里の種子島へと戻ったのだそうです。

一度あってみたかったな。

その大門さんの活動の様子、けっこう感動するので、よかったらご覧になってください。

さて、二宮の駅を過ぎて国府津の手前になると、東海道から初めて海が見えてきます。

箱根の山に相模湾、いろんなものが初めて見えてくる、ということは、東京からそれだけ離れた、ということなんですね。
ただ、富士山だけはまだ一度も姿を見せてくれません。

遠くに丹沢の山々を望みながら酒匂川を越えると、いよいよ小田原の市街地となります。

歌川広重 東海道五十三次 小田原 酒匂川 │ 酒匂川を渡る人々。遠くには小田原城が見え、その先に雄大な箱根の山々が描かれています。

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