岳南鉄道に初乗車!
「吉原の左富士」を過ぎ、ジャトコという日産系列の大きな工場の横を通り過ぎると、かつて吉原宿があった吉原本町に入ります。
すると踏切があって、「吉原本町」の駅。これは岳南鉄道といって、JR吉原駅から出ている小さな私鉄です。名前くらいは聞いたことはあったのですが、今回の東海道散歩で地図を見て、こんなところを走っているんだ、ということを初めて知ったのでした。
今回を逃したら、たぶんもう一生乗ることもないような気がしたので、休憩がわりにちょっと乗ってみることにします。全線でも9.2キロという短い距離なので40分もあれば終点まで行って戻って来られそうです。
やがてやって来た電車は、かなりレトロなタイプですよ、これ。
「赤がえる」という愛称らしいです…
ということで思いつきで乗ってみたのですが、いやいや岳南鉄道、なかなかやってくれました。もともと沿線には工場が多いのですが、途中、完全に工場の中を走るのです。
Ⓒ写真 AC
工業地帯を走る路線として有名なJR鶴見線と比べてもまったく見劣りしないどころか、こっちの方が臨場感ありました。工場をライトアップして工場夜景電車を走らせるイベントなんかも実施しているようです。
>岳南電車オフィシャルサイト「夜景電車」
終点の岳南江尾駅。
岳南鉄道も多くの地方鉄道と同様に、乗客減に苦しんでいて、今も廃止の危機と背中合わせのようですので、ぜひ近くに行った際には「全駅から富士山が望める鉄道の、かたみち21分の自由時間」を楽しんでみてください。
Ⓒ富士市
吉原本町のアラビアンナイト
さて、吉原本町に戻り、今日のラストスパート、JR富士駅へと向かいます。吉原本町から先はアーケード街が続き、なかなか賑やかな感じになってきました。
この吉原本町の商店街、全体的に昭和レトロな雰囲気がプンプン匂っていたのですが(そもそも岳南鉄道も)、やがてこんなアラビアンナイトふうな雑居ビルが並ぶ、結構な夜の繁華街も現れ始めました。
「ArabianNights BuildライカIII」って書いてあるけど、IとかIIとかあるのか?
怖くて入らなかったのですが、実はこのビル、奥までぜーんぶアラビアンナイトな感じで、びっしりとテナントが入っているんだそうです。
吉原ってそもそも名前聞くだけでムフフなイメージあるんだけど、あの吉原とは関係ありません、たぶん。
もともとここは人口も10万人近くいた「吉原市」の中心だったのですが、1966年に富士市と合併し「富士市」の一部になったんだそうです。おそらくその時、まちの中心機能が旧富士市側に移ってしまったため、時代に取り残された吉原本町は昭和レトロな雰囲気が残っているのかもしれません。
Ⓒ写真 AC
僕は知らなかったのですが、吉原本町には「つけナポリタン」と言われるご当地B級グルメもあるらしく、かなりディープな場所だったんですね。もうちょっと深堀しておけばよかった。
吉原の繁華街を抜け、富士市役所の横を通り、住宅街をしばらく歩きます。王子製紙の煙突が、旧東海道の先にそびえています。
やがて駅前本町通りに出たところで、今日は旧東海道とはここで分かれて、ゴールであるJRの富士駅に到着しました。最後に駅前から富士山を望むと、山頂付近はうっすらと雲に覆われていましたが、3日間、こんなに富士山と一緒に旅を楽しめるとは思いませんでした。
ここから先の東海道は、富士山からどんどん遠くに離れてゆくことになるのがちょっと寂しいですが、富士市のマンホールは本家だけあってさすがにカッコいい富士が描かれていたので、これに満足して東京に向かう電車に乗り込んだのでした。