京都でも有数の規模を誇る禅宗寺院 大徳寺塔頭「聚光院」にて国宝「花鳥図」が特別公開

2022.03.24

京都国立博物館から5年半ぶりに里帰りした国宝・聚光院本堂障壁画「花鳥図」が2022年9月3日(土)〜2023年3月26日(日)の期間、大徳寺にて一般公開されます。

大徳寺は織田信長や豊臣秀吉など戦国大名ゆかりの地で、その戦国武将に仕えた茶聖 千利休や日本美術史上の重要人物の一人、狩野永徳を代表とする狩野派などが活躍した当時の文化の最先端であり、日本文化に多大な影響を与えた場所です。大徳寺塔頭 聚光院は千利休の菩提寺として知られ、また利休の流れを汲む茶道三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)歴代の墓所でもあり茶道を嗜む者にとって特別な場所です。

聚光院は永禄9年(1566)、戦国武将の三好義継が養父・長慶の菩提を弔うために創建。開祖である笑嶺宗訢が千利休参禅の師であったことから、利休は聚光院を自らの菩提寺としました。また利休の流れを汲む茶道三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)歴代の墓所でもあり茶道を嗜む者にとって特別な場所です。

【特別公開 概要】

期間: 2022年9月3日(土)〜2023年3月26日(日)
時間: 9:00〜16:00予定(最終受付)
拝観料: 2,000円(中学生は保護者同伴、小学生以下拝観不可)
公開形式: 時間と人数を区切ってグループ拝観(ツアー形式)予約優先(京都春秋HPもしくは電話受付にて)
特別公開: 【国宝】狩野永徳・松栄筆 本堂障壁画
【重要⽂化財】本堂、茶室「閑隠席」「枡床席」
【名勝】⽅丈庭園「百積の庭」
書院(千住博筆襖絵「滝」)

京都国立博物館より5年半ぶりに里帰り!【国宝】 狩野永徳・松栄筆 本堂障壁画

狩野永徳・松栄筆障壁画「花鳥図」

聚光院本堂の障壁画は桃山時代の天才絵師、狩野永徳(狩野派4代目)とその父、松栄(狩野派3代目)によって描かれました。特に永徳は当時24歳と若年ながら本堂の中心的機能を持つ室中を任され、傑作「花鳥図」を描き上げます。

天才・狩野永徳は現代でも日本画の重要人物の一人として挙げられますが、永徳が手掛けた安土城、聚楽第、大阪城はいずれも兵火・破却に遭い現存する作品は少なく、このスケールで残るものは聚光院の障壁画「花鳥図」のみです。

1979年に「モナリザ」が来日し展示されましたが、その際に答礼としてフランスで展示されたのが永徳の「花鳥図」でした。まさに日本美術を代表する傑作です。

【重要文化財】茶道三千家の関わりを持つ「閑隠席」「枡床席」の二つのお茶室

聚光院と茶道三千家の関わりを最も如実に伝えるのが、共に重要文化財である「閑隠席」と「枡床席」の二つのお茶室です。閑隠席は千利休150回忌の際に表千家7代如心斎の寄進によって建てられたもので、ここで朝茶が開かれたことが記録にも残っています。利休の精神を汲み、明かりが極度に制限され簡素で緊張感のある設えが特徴。3畳と狭く、床柱は真っ直ぐな赤松皮付が使用されています。対して閑隠席と水屋を隔てて隣り合う枡床席は4畳半とやや広くその半畳は踏込み式の床の間となっています。

【重要文化財】書院・千住博筆『滝』

平成25年(2013)に落慶した聚光院書院には、東京国際空港第2ターミナルやAPEC JAPAN 2010の首脳会議に作品が展示されるなど、世界的に活躍する日本画家・千住 博画伯の障壁画『滝』が納められています。

【重要文化財】書院・千住博筆『滝』

<千住 博>
日本生まれ。ニューヨーク在住の画家。崇高で巨大なスケールの滝や崖の作品で世界的に知られている。抽象表現主義に根ざしたミニマルな表現と日本古来の絵画技法を組み合わせた作品を制作している。2007年から2013年まで京都造形芸術大学学長を務め、現在は京都芸術大学教授、康耀堂美術館館長、ヴァン・クリーフ&アーペル芸術学校(レコール)マスターズコミッティー委員、公益財団法人徳川ミュージアム相談役などを務める。

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