東京都

芸術

フィリップス 11月オークション/草間彌生など著名な女性アーティスト作品が目白押し

2021.11.05

フィリップスは、この11月に女性コンテンポラリーアーティストを代表する、草間彌生の作品と、彼女の渡米を助けたことでも知られ、花の絵画が印象的なジョージア・オキーフの作品が香港・ニューヨークで行われる20世紀 コンテンポラリーアートオークションにて出品されることを発表いたします。

ジョージア・オキーフ
Crab’s Claw Ginger Hawaii 1939年製作
キャンバス地に油絵具 48.3 x 40.6 cm
エスティメイト: 400-600万米ドル

11月18日に行われる、20世紀・コンテンポラリーアート ニューヨークイブニングセールにて登場するアメリカ人アーティスト、ジョージア・オキーフの作品。中でも、ハイライトは「Crab’s Claw Ginger Hawaii」です。この絵画は、ハワイの観光地としても知られる農園を持つ、ドール・パイナップル・カンパニーが40年間所有していましたが、1987年に慈善活動や芸術への貢献で知られるハワイアン5世サーストン・トゥイッグ・スミスの手に渡りました。様々な都市の魅力を彼女らしいタッチで描く作品の中でも、「Crab’s Claw Ginger Hawaii 」はオキーフ の制作したハワイの作品シリーズの中でも超大作であり、この度初めてオークションに出品されます。オキーフの人気はアメリカにとどまらず、2019年ごろからアジアのコレクターに注目を浴びはじめ、ヨーロッパでは、現在パリのポンピドゥセンターで大回顧展が行われるなど世界を股にかけています。また、オキーフ は女性アーティストの作品の中でも最も高額なオークション記録を保持しています。

この作品の最後の所有者サーストン・トゥウィッグ・スミス氏はハワイに入植した宣教師の末裔であり、戦争から帰還したのち、地元の小さな新聞社をハワイの有力紙へと成長させ、州の地域社会への慈善活動に貢献しました。ハワイの芸術振興にも多大なる尽力を注ぎ、ホノルル現代美術館を企業ギャラリーから公共の美術館(現在のホノルル・ミュージアム・オブ・アート・スポルディング・ハウス)へと変身させました。

また、オキーフは草間彌生にも大きな影響を与えています。草間が地元の書店でオキーフの絵を目にし、その圧倒的な美しさに思わず筆をとりオキーフへ手紙を出したところ、当時縁もゆかりもなかった草間に、ぜひアメリカに渡るよう返信をしたのです。オキーフの存在がなければ、草間は世界的なアーティストになっていなかったかもしれません。

サーストン・トゥウィッグ・スミス氏夫妻

オークション詳細情報
20世紀&コンテンポラリーアート ニューヨーク イブニングセール

日時: 11月18日(木) 09:00 – (日本時間)
場所: 432 Park Avenue, New York, NY, United States, 10020

草間彌生
Repetition 1998年制作
裏面にサイン、年代、タイトル「YAYOI KUSAMA 1998 “REPETITION”」
布製の詰め物、木、絵の具など120のパーツからなる
各38×25.6×15cm; 全体で228×512×15cm
草間彌生のスタジオが発行した登録カードが付帯
エスティメイト: 15,000,000 – 20,000,000香港ドル/ 1,920,000 – 2,560,000米ドル

言わずと知れた日本の至宝とも言える現代アーティスト、草間彌生。女性として初めてヴェネチア・ビエンナーレに日本代表として参加(1993年)したことに加え、世界で最も権威のある組織が主催する多くの展覧会で表彰されています。この度、11月30日にポリーインターナショナルオークションとともに行われる香港20世紀・コンテンポラリーアートセールで登場する彼女の作品の中でも特筆すべきは、博物館級の作品の「Repetition」の出品です。

1998年に制作された「Repetition」は、草間氏の作品の中でも大作のひとつ、かつ希少な作品であり、草間の代表的なモチーフが洗練された形で組み合わされています。この作品は、120個の箱で構成され、それぞれの箱の中には、金色と黒の巣から開花した、まるで生き物のような水玉模様の突起物が入っています。柔らかい枕のようなペニスの形は、草間彌生が1962年に手縫いで始めた、遊び心と危険性を併せ持つ「Accumulation」シリーズに由来しています。それは「彼女のセックスに対する感情や嫌悪感を癒すため」に作られたものであるといいます。「Repetition」の蛇のような管には、おなじみの反復モチーフが残っていますが、初期の構成とは対照的に、蛇のような筒状の形のおなじみの繰り返しパターンは、「Repetition」ではもはや怒りを意味するものではなく、むしろ豊かな成長を意味するものとなっています。

「Repetition」は、草間氏の象徴的な立体作品を木箱に収めた小さなシリーズから始まっており、超大作では、100個以上の立体作品が製作され、ひとつひとつに署名がついています。富山県立近代美術館、新潟市美術館、松本市美術館などの永久展示作品に匹敵するほどの歴史的重要性と価値があります。セカンダリーマーケットに登場したばかりの「Repetition」は、制作された年にニューヨークのロバート・ミラー・ギャラリーで初公開された後、2003年にはマイアミのバス美術館、2018年にはマイアミのムーア・ビルディングで展示された作品です。

草間彌生
INFINITY-NETS (OPRT) 2004年制作
キャンバスにアクリル絵具 193.3 x 193 cm
エスティメイト: 15,000,000 – 25,000,000香港ドル/ 1,920,000 – 3,210,000米ドル

草間彌生の代表的な作品である「Infinity Nets」シリーズの一つであるこの大きなキャンバスは、見る者をそのループ状のうねりの中に引き込んでいきます。描かれた絵の具の輪は、前後の絵の具の輪とは微妙に異なり、空間の中を無限にループしています。彼女の作品には、連続したすべてを包み込む網というモチーフが頻繁に登場し、無限の宇宙が描かれています。草間は長きにわたりトラウマに苦しみました。それが彼女の世界観を形成し、ひいては彼女が生み出すアートにも影響を与えています。鑑賞者は、無限の広がりと閉塞感を同時に感じ、私たちを取り囲むように繰り返される筆の動きに魅了され、その網から逃れることはできません。

草間彌生
SUMMER-STARS (QPTW) 2007年制作
キャンバスにアクリル絵具 194 x 194 cm
エスティメイト:5,000,000 – 7,000,000香港ドル/641,000 – 897,000米ドル

草間のキャリアの中で最も根強いモチーフである水玉をフィーチャーしたこの作品は、草間の花やカボチャの彫刻のようなエネルギーを感じさせます。血の海から現れたこの球体は、永久に増殖し続ける病原性の微生物を漠然と連想させ、重力と軌道によって接線した天体のようにも見えます。創造と衰退の中で伸縮するドットは、草間芸術の根幹を端的に表しています。

オークション詳細情報
香港 20世紀&コンテンポラリーアートオークション

日時: デイセールは11月29日(月)
イブニングセールは11月30日(火)
場所: The JW Marriott Hotel, Hong Kong

PHILLIPSについて
フィリップスは、20世紀および21世紀のアートとデザインを売買する世界的なプラットフォームを提供してしており、20世紀およびコンテンポラリーアート、デザイン、写真、版、時計、ジュエリーの7分野に特化しています。お客様には収集に関してプロフェッショナルな観点からあらゆるアドバイスをいたします。ニューヨーク、ロンドン、ジュネーブ、香港のサロンでオークションや展示会を開催しているほか、それ以外の地域のお客様には、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの各地域にあるオフィスを通じてサービスを提供しています。また、フィリップスは、世界のどこからでもアクセスできるオンライン・オークション・プラットフォームをご用意しています。さらに、オークションを通した売買の機会を提供するだけではなく、個人売買の仲介や、鑑定、評価などのサービスを行っております。

*エスティメイトにはバイヤーズプレミアムが含まれていませんが、販売価格にはハンマープライスとバイヤーズプレミアムが含まれます。

東京 – 本井 眞奈 (コミュニオン株式会社)
mail:m.motoi@communion.co.jp
TEL:03-5468-5278

フィリップス東京オフィス
〒106-0032
東京都港区六本木 6-6-9 ピラミデビル 4F
TEL:03-6273-4818

服部 今日子 (フィリップス日本代表)
mail:khattori@phillips.com
松本 麻生
mail:mmatsumoto@phillips.com

PHILLIPS NEW YORK:450 Park Avenue, New York, NY 10022
PHILLIPS LONDON:30 Berkeley Square, London, W1J 6EX
PHILLIPS HONG KONG:14/F St. George’s Building, 2 Ice House Street, Central Hong Kong
PHILLIPS GENEVA:Rue de la Confédération, 7 Geneva 1204

>公式サイト
>Twitter
>Instagram
>Facebook
>Linkedln
>Weibo

あなたにオススメ

新着

新着

注目の記事

熊本県

日本情報

【阿蘇郡南小国町】黒川温泉周辺に登場した新施設やリニューアル店のご案内

黒川温泉(熊本県南小国町)とその近郊で最近新しくオープンした施設やリニューアルしたお店をご紹介します。どのスポットも黒川温泉街から車で約5~10分圏内にあるので、温泉巡りの合間に気軽に立ち寄れます。老舗旅館が手掛ける新店舗や、自然豊かな里山カフェ、地元食材にこだわったレストランなど、多彩な魅力が満載です。黒川温泉の新たな楽しみとしてチェックしてみてください。

栃木県

日本情報

渋滞を避けて早朝の奥日光の紅葉を楽しむ「SPACIA X NIKKO CRUISERが紡ぐ早朝紅葉鑑賞の旅」発売

2025年10月より日光エリアにおける新たな二次交通サービスとして、ハイグレード貸 切バス「SPACIA X NIKKO CRUISER」の運行を開始いたします。 運行開始を記念し、東武トップツアーズ株式会社では「SPACIA X NIKKO CRUISERが紡ぐ 早朝紅葉鑑賞の旅」を企画、2025年9月12日(金)より発売いたします。

全国

イベント

戦後80年。先人達が命懸けで遺した”普通の日常”の尊さを想う。映画「雪風 YUKIKAZE」2025年8月15日(金)より全国公開。

「生きて帰る 生きて還す」
多くの命を救い続けた、駆逐艦「雪風」の史実に基づく物語『雪風 YUKIKAZE』が戦後80年の節目となる2025年8月15日、全国公開される。公開に先立ちソニー・ピクチャーズ試写室でマスコミ先行試写会が行われた。

太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」。戦場で海に投げ出された多くの仲間の命を救い帰還させ、戦後まで生き抜き「幸運艦」と呼ばれた雪風と、激動の時代を懸命に生きる人々の姿を壮大なスケールで描く。

主演は「雪風」の艦長・寺澤一利を演じる竹野内豊。先任伍長・早瀬幸平を玉木宏が演じるほか、奥平大兼、田中麗奈、石丸幹二、益岡徹など実力派俳優が共演。そして戦艦大和と運命を共にした帝国海軍・第二艦隊司令長官、伊藤整一を中井貴一が圧倒的な存在感で演じ切る。

時代が再び、分断と暴力に揺れる現代。本作は「同じ過ちを繰り返す道を歩んではいないか」と、彼らが命をかけて守りたいと願った”今”を生きる私達に問いかける。戦後80年、戦争の記憶が薄れゆく今だからこそ、尊い平和の価値を未来に繋ぐ作品『雪風 YUKIKAZE』を多くの方にご覧いただきたい。

広島県

芸術

下瀬美術館「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展/インタビュー後編:吉村良介氏, 高橋紀成氏, Mario Christiano氏, Stefano Pesce氏

2023年に広島県大竹市に開館した下瀬美術館。厳島、瀬戸内海に面し、世界的建築家である坂茂(ばん・しげる)氏が設計を手がけた当美術館は、2024年12月に「世界でもっとも美しい美術館」としてヴェルサイユ賞を受賞し大きな注目を集めた。

この下瀬美術館で「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展2025年4⽉26⽇(土)から7⽉21⽇(⽉・祝)が開催され、開幕10日で来場者数1万人を越え、同館最速の記録となり盛況を博している。

1980年〜2000年生まれのアジアの若手アーティストの作品群により構成される本展はヴェルサイユ賞受賞を記念して行われる特別展示であり、下瀬美術館にとって初の現代芸術展というチャレンジングな展示でもある。

前編に続き、下瀬美術館の代表理事を務める吉村良介氏、同じく下瀬美術館のボードディレクター高橋紀成氏、そしてイタリアNo1ギャラリーGalleria ContinuaオーナーMario Cristiani氏、Mark Tobey財団ディレクター兼アートアドバイザー/Stefano Pesce氏のインタビューをお届けします。

広島県

芸術

下瀬美術館「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展/インタビュー前編:チーフキュレーター齋藤恵汰氏

2023年に広島県大竹市に開館した下瀬美術館。厳島、瀬戸内海に面し、世界的建築家である坂茂(ばん・しげる)氏が設計を手がけた当美術館は、2024年12月に「世界でもっとも美しい美術館」としてヴェルサイユ賞を受賞し大きな注目を集めた。

この下瀬美術館で「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展2025年4⽉26⽇(土)から7⽉21⽇(⽉・祝)が開催され、開幕10日で来場者数1万人を越え、同館最速の記録となり盛況を博している。

1980年〜2000年生まれのアジアの若手アーティストの作品群により構成される本展はヴェルサイユ賞受賞を記念して行われる特別展示であり、下瀬美術館にとって初の現代芸術展というチャレンジングな展示でもある。

HYAKKEIは開催直後の当展を訪問し、チーフキュレーターである美術家の齋藤恵汰氏のインタビューを敢行。「日本の美術界に一石を投じる企画にしたかった」と語った。

ピックアップ

ピックアップ