【東海道五十三次ふらっと-flat-完歩】Vol.38 岡崎宿~御油宿後編 旅人留女とか裏マッサージの妖しい夜

『東海道五十三次ふらっと-flat-完歩』とは…
ふとしたきっかけで東海道を歩き、その魅力に目覚めた筆者が、旧東海道に沿って、五十三次、約500㎞をテキトーに歩き、永い歳月をかけてついに完歩してしまった感動巨編!(ただし全米は泣かない)。

時間がある時にぶらっと出かけて、気の向くままに歩くシステム。よって歩く順番もランダム。名所旧跡を語るより、街道沿いの人々や風俗(変な意味ではない・・・と思う)、B級スポットなどを、ときどき妄想も入れつつ紹介し、いつか現代の十返舎一九と呼ばれたい。

この日は岡崎に泊まって、三河の東海道を歩いた時の2日目後編。午前中のウラ岡崎城とか、かいちゃんのいるホテルに続き、妄想を掻き立てるような妖しい事象が連発するこの区間、どうなってるんや三河!

旅人留女現る?!

岡崎市と豊川市の境にある狭隘な谷間を抜けて再び旧東海道に入り、久しぶりに町並みが現れるとやがて赤坂宿となるのですが、その前にちょっと休憩。

気が付けば、出発してからもう5時間以上歩き続けています。朝からちょこちょこ休憩はしていたのですが、途中で昼食をとるような場所がタイミングよく現れず、ここまで来てしまったのです。旧道に並走する国道1号沿いに大きなドライブイン的なものが見えたので行ってみます。

ちくわは豊橋の名産なのだそうで、このあたりはもう豊橋に近くなってきたということなんですね。休憩所と無料のコーヒーコーナーがあったので、店内で買ったえびせんをここで食べました。

少しパワーを取り戻して、赤坂宿を通過。

赤坂はなかなか賑やかな宿場町だったということですが、表だったところにはあまりその面影はありませんでした。まあ、疲れていたのでとっとと歩いて通り過ぎてしまっただけかもしれませんが。

赤坂宿から次の御油(ごゆ)宿までは約2キロと、東海道の宿場間では一番短い距離だと思うのですが、途中に御油の松並木というこれまた立派な松並木が残っています。

昨日も今日も、このあたりは他の旧東海道の区間に比べて立派な松並木がたくさん残っていますね。

御油の宿場町を通ると街角にこんな看板が!

旅人留女だと!?

いるぞ、旅人、ここに!留めないのか?引き留められたらそのあとどうなるのか!このまま裏岡崎城とか、かいちゃんの待つ「ホテルミンクス」とかに引きずりこまれてしまったら困っちゃうなー、と思っていたのですが残念ながら街道沿いには留女、見当たらず。うーん、お正月休みなんだな、きっと。

実はこれは歌川広重の「東海道五十三次之内 御油 旅人留女」として有名な浮世絵なんですね。

旅人留女とは今でいう客引き。当時、旅籠間の競争が激しい宿場町にいたらしいのですが、引かれて泊まったからといって、特別な何かがあったわけではないようです。。。

ウラマッサージの妖しい夜

この日は御油宿まで、と思っていたのですが、留女もいないことだし、まだ明るいのでもう少し頑張ってみることにします。御油の宿場を抜けると、周囲が急にひらけた感じになり、よくある都市郊外のロードサイドのような雰囲気に。

名鉄の国府(こう)駅。ここから名鉄で豊川稲荷へ行く路線が出ているのだそうです。豊川稲荷には行ったことがないので、翌日行ってみることにしました。

そんなわけで、今日はもっと豊橋近くまで歩いてみよう、ということでズンズン進みます。

御油を過ぎると、旧東海道を歩いてはいるのですが、なんだか急に味気なくなった感があり、途中で目につくような建物はこの太鼓店くらいでした。

結局、この日は飯田線の小坂井駅付近まで歩いたところで暗くなったので、ここで終了。明日は豊川稲荷に行って、その帰りにこの小坂井駅から豊橋駅までの間を歩いて終わりにすることにします。

最後、頑張りすぎたらしく足腰お尻がパンパンだったので、マッサージでもしようか、と豊橋まで行ってみたものの、どこも正月休みでなんと全滅。

不思議なことに、一度心に決めてしまうと、どうしてもやらないと気がすまないような気がして、岡崎に戻ってホテルで聞いてみてもダメ。失意のもと、食事をしに岡崎の街なかに出てみると、中国の方とか台湾の方とか韓国の方々がやっていらっしゃるマッサージ屋さんのネオンは正月にも関わらずギラギラ輝いているのです。

裏岡崎城があれば裏マッサージもあり。さすがグレート家康公のお膝元。深いなー岡崎!

ということで、とりあえずそのうちの一軒に入って「普通のマッサージですよね!!!!!」と5回にわたり指さし確認し、一応そうだ、というような雰囲気だったので、出発進行。

暗ーい小部屋に通されて、旅人留女の宿はこんな感じだったのだろうか、とはるか400年前に思いを馳せていると、「ブチッ!」と音がして店内のすべての電源が消失。

おいおいおいおいおいおいおいおい。これって罠かよ!旅人留女ってのはこうして身ぐるみ剥いで行く類の盗賊なのか?125万4千円入りの財布をパンツの中に隠しながら、再びそんなふうにはるか400年前に思いを馳せていると

「オニーサン、デンキ、ワカラナイ、ワカル?」と(たぶん)韓国の方の声が。

あら、ほんとに電気が切れちゃったのね。まあブレーカーが落ちただけだろ、とおねーさんの懐中電灯の灯りを頼りにブレーカーの場所に行って、上下してみたものの、なぜか回復せず。

「オカシナー、オカシナー、オニイサン、ワカラナイ?ワカル?」

ワカンネーヨ!オニーサン、電気屋じゃないからっ!

結局、おねーさんが電気屋さんに電話するも正月の夜のためか、つながらず。ついに全電源喪失!!!

「オニーサン、ローソクアルヨ。カイチュウデントー、アルヨ」

それでも客を引き留めようとするその熱意とパワー、さすが現代の旅人留女!

僕もすっかりその気になっていたので(マッサージを受ける気、という意)、ちょっとだけ迷ったのですが、やはり現金125万4千円をこの暗い中に放置はできない、ということで、岡崎、家康、詰めが甘し、とひとり呟きながら店を出たのでした。。。

今回の結果:岡崎宿~吉田宿 27.5kmを制覇! 
(前日の岡崎~池鯉鮒間も含め)東海道テキトー完歩まで:現在の合計 331.8㎞/495.5km

<2016年1月訪問> 記事の情報は訪問当時のものです。最近の情報は公式サイト等でご確認ください。

Vol.39へ続く
< 【東海道五十三次ふらっと-flat-完歩】 Vol.37 岡崎宿~御油宿前編 「ウラ岡崎城」とか「かいちゃん」とか

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