沖縄県

観光

文化

うちなー滞在記vol.3「わたしはキジムナーに会えるか?~ひんぷんガジュマルと気根の謎~」

沖縄に移り住んで4か月。

沖縄には、自分の「普通」にはない物事がたくさんあります。

そのひとつが「沖縄には3回、お正月が来る」ということです。

1回目は、現在の日本も含めて、世界中の多くの国で使われている「太陽暦(たいようれき)…新暦」によるお正月。「太陽暦」は、(地球から見た)太陽の動きによるものなので、季節や気温のことが良くわかります。

2回目は、「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)…旧暦」によるお正月。「太陰暦」は月の満ち欠けによるもの。動植物の変化、潮の満ち引きが良くわかるというメリットがあります。

ただ、「太陰暦」だと、太陽の周期とずれていく(=季節が分からなくなる)ため、32~33か月に一度「うるう月」を設け、「太陽暦」とのずれを解消しています。それを「太陰太陽暦=旧暦」といいます。

沖縄では、ほとんどのご家庭が新暦のお正月を祝うそうですが「潮の満ち引き」がとても重要な漁師町では、今でも「旧暦」のお正月を祝うそうです。日本最南端の漁港を持つ「糸満(いとまん)市」が代表的です。旧正月に、カラフルでおおきな大漁旗を付けた船を走らせ、大漁祈願・航海安全を願うという行事があります。

そして3回目、旧暦1月16日「ジュールクニチー」です。これはいわゆる「あの世」のお正月です。このほかにも「清明(シーミー)」や「エイサー」といった、旧暦に合わせた先祖供養の行事がたくさんあります。

このように、沖縄には琉球王国時代に中国(当時の明・清)から伝わった文化・風習が多く残っています。

私は、時が流れていても、うちなーんちゅ(沖縄の人たち)は、自分たちに受け継がれた歴史や文化・風習をとても大事にしている人たちなのだと思います。

今回は、そんな琉球王国時代から今に至るまで、沖縄に在り続けている「ひんぷんガジュマル」を中心に、沖縄に象徴的な樹木「ガジュマル」についてご紹介したいと思います。

赤髪の精霊が宿る木

「ひんぷんガジュマル」は、沖縄本島北部・名護(なご)市にあるガジュマルの巨木です。名護大通り(県道84号)の中央分離帯上、というより、巨木を避けるように道路がつくられているといった方が正確でしょうか。

ガジュマルの木を避けて車が走る様子。

樹齢は240年~300年以上とされています。なぜはっきりとした樹齢がわからないのでしょうか?

おそらく、幹の周りにからみついた「気根(きこん)」と呼ばれる根があるため、幹の周囲を正確に測れないからだろうと思います。

沖縄市・八重島公園のガジュマル。気根が幹を覆うように垂れ下がっています。

通常、根は土の中に伸びていきますが、「気根」は幹の途中から伸びてきます。空気中に根があるので、空気中の水分を吸収出来るという利点があります。

ガジュマルが生息する熱帯~亜熱帯地域は湿度が高い(空気中の水分が多い)ので、「気根」はうってつけの構造と言えます。

地面を這うように根を張ることで、大きく育つ幹や枝葉を、しっかりと支えるという役割もあります。

ガジュマルが生息する沖縄、台湾、インドなどでは、台風やサイクロンの影響をとても受けやすいので、「気根」は本当に環境に適した働きをしています。

「アダン」という樹木。この木も「気根」を持ち、強風でなぎ倒されないよう、自らを支えるように成長しているのがわかります。

沖縄には昔から「ガジュマルの古木には精霊が宿る」という伝説があります。その精霊が「キジムナー」です。

「キジムナー」は赤い髪をしていて、跳ぶように歩く、子供の精霊だそうです。気に入られれば、魚をたくさん獲ってきてくれたりと、家を栄えさせてくれるようです。

しかし、ひとたび嫌われてしまうと、とても恐ろしい仕返しが待っているようです。例えば、おなら(キジムナーはおならが嫌い)をすると、足首をつかまれて海で溺死させられるとか...恐すぎです。キジムナーさん...

東北地方に伝わる「座敷童子(ざしきわらし)」との共通点も多くありそうです。

魔除けの「ひんぷん」とは?

「ひんぷんガジュマル」の「ひんぷん」は、中国語の「屏風(ひんぷん)」からきています。日本語では「びょうぶ」とも読みますね。

では、「ひんぷん」とはどのようなものでしょうか?

琉球村・旧島袋家

このような沖縄の伝統的家屋の、正門から入ったところにある衝立(ついたて)のことを「ひんぷん(屏風)」といいます。

目隠しという意味もありますが、魔物(マジムン)が家の中に入ってこないようにする、いわゆる「魔除け」の意味が大きかったようです。

もともと「ひんぷんガジュマル」という名前は、樹下に置かれている「三府龍脈碑(さんぷりゅうみゃくひ)」、別名「ひんぷんしー(屏風石)」と呼ばれる石碑が由来ですが、名護の街を隠し、魔物を寄せ付けまいと立ちはだかる、このガジュマルこそが名護の街の「ひんぷん」である、という意味合いの方が今は強いようです。

街側から見た「ひんぷんガジュマル」

ひと昔前までの沖縄では、ガジュマルは子供の遊び場だったようです。私が沖縄を好きになった理由のひとつに(好きに理由は無いのですが)、「ガジュマル」や「キジムナー」が出てくる映画を見た、というのがあります。

実際にガジュマルやキジムナーを見たことがない私は、「精霊といい、ガジュマルの風貌といい、どうやら沖縄には私の理解を超えた何かがあるらしい」と思ったものです。

あの頃は、こんなに「ガジュマル」が身近な存在になるとは思ってもみませんでした。今でも不思議な感じがします。今回「ひんぷんガジュマル」を訪れて、沖縄に象徴的な樹木「ガジュマル」が、うちなーんちゅ(沖縄の人たち)にとって、かけがえのない存在だということを改めて感じました。そして「ガジュマル」にとってもうちなー(沖縄)は、とても「居心地がいい」場所なんだということも。

うちなーぐち講座

コザ(沖縄市)の路地裏にて。

最後に、沖縄の方言「うちなーぐち」を2つご紹介したいと思います。

まずは、、、

【にふぇーでーびる】

え?でーびる?(初めて聞いた時の私の反応です)

これは「ありがとうございます」という意味で、「ありがとうございました」と過去形になると「にふぇーでーびたん」と変化します。

これに、いっぺー(たくさん)という言葉がつき、「いっぺーにふぇーでーびる」となると、最大級の感謝を伝えることが出来るそうです。

【よんなー】

繰り返して「よんなーよんなー」と言うことも多いそうで、意味は「ゆっくり、焦らず、自分のペースで」という優しい言葉です。とても好きなうちなーぐちのひとつです。

それではまた、次回にお会いしましょう。

新着

新着

注目の記事

愛知県

観光

ディープなローカルツアー “「三河里旅」×「とよた宿割」”で お得にマイカーで巡る御朱印旅

地域で暮らし地域を深く知るガイドが三河の山里でしか体験できない唯一無二の旅を提案する「三河里旅」のローカルツアー。そんな三河里旅より、とよた宿割を利用することで食事や宿泊・休憩が等が半額になる日帰りツアーが登場。2日間限定のお得なツアーをお見逃しなく。

沖縄県

観光

「ウィンドサーフィンデビューステイ」プランが登場【リゾナーレ小浜島】

周囲に高い山や建造物など障害物がない小浜島は、どの方位からも風が吹き、風を操って楽しむウィンドサーフィンの聖地と称されています。
日本最南端の八重山諸島に位置する離島のビーチリゾート「星野リゾート リゾナーレ小浜島」に、2021年12月1日~2022年2月28日の期間、マンタ柄のセイルでウィンドサーフィンに挑戦するプラン「ウィンドサーフィンデビューステイ」が登場します。

沖縄県

伝統

観光

文化

うちなー滞在記vol.11「三山時代にタイムスリップ~護佐丸の築城と松並木~」

沖縄に移り住んで早一年が経とうとしています。一年前に吹いていた風、冬へ向かう空気の冷たさが思い出されます。

「うちなー(沖縄)でやっていけるだろうか」

「うちなーんちゅ(沖縄の人たち)と私は何が違うのだろう」

当初、そんな不安と好奇心とを抱きながら生活していました。しかし、様々な人と接するうち、不安は徐々に解消されていきました。

「うちなーには様々な国籍を持つ人たち、本土(沖縄以外の日本)の人たちが暮らしている」ことは心強さを与えてくれました。

「うちなーには様々な異文化との交流の歴史があった」ことを知れたのも、大きな理由の一つです。

そして、風習や言葉の違いは “違い” として尊重し、残そうとしているうちなー文化に触れているうち、「違うことは当たり前」「違っていて良い」と思えるようになりました。

さて、今回は時をさかのぼること600年。三山時代に築城されたといわれる沖縄本島中部・読谷村(よみたんそん)の世界遺産「座喜味城跡(ざきみじょうあと)」をご紹介します。

ピックアップ

ピックアップ