【東海道五十三次ふらっと-flat-完歩】Vol.52 大津~三条大橋 前編 いよいよゴールへカウントダウン&哀れな蝉丸

『東海道五十三次ふらっと-flat-完歩』とは…
ふとしたきっかけで東海道を歩き、その魅力に目覚めた筆者が、旧東海道に沿って、五十三次、約500㎞をテキトーに歩き、永い歳月をかけてついに完歩してしまった感動巨編!(ただし全米は泣かない)。

時間がある時にぶらっと出かけて、気の向くままに歩くシステム。よって歩く順番もランダム。名所旧跡を語るより、街道沿いの人々や風俗(変な意味ではない・・・と思う)、B級スポットなどを、ときどき妄想も入れつつ紹介し、いつか現代の十返舎一九と呼ばれたい。

長いようであっという間だった東海道ふらっと完歩も、残すところは大津から京都三条大橋までの一区間。大津から最後の難所、逢坂の関を越えて京都に入るのですが、その手前にあの百人一首の坊主めくりで知られる蝉丸にまつわる場所があったのでした。

逢坂の関のかわいそうな蝉丸

長いようであっという間だった東海道ふらっと完歩も、今日でゴールの予定です。

完歩の瞬間には、三条大橋前にゴールテープでも張ってもらって、箱根駅伝の青学並みのガッツポーズでもキメようかな、と思っていたのですが、ファンクラブ会員を手当たり次第に呼んでしまうと、ゴール直後から祝勝会のお誘い合戦で河合奈保子の「けんかをやめて」状態になってしまいそうなので、今回は人知れずひっそりとゴールすることにしました。

前日、京都に泊まっていたため、朝、いったんJRの大津駅まで戻って、浜大津の駅前から旧東海道完歩を再開します。

JR大津から京阪の浜大津方面に向かうなだらかな下り坂の先に、琵琶湖が見えます。ここだけ見たら横浜とか、長崎みたいですね。

前回大津まで歩いてきた時は真夏で、真っ青な琵琶湖にヨットが何艇も浮かんでいて、湖国滋賀とはこんなに美しいのか、と感動したことが思いだされます。

大津の町なかを抜けた旧東海道が、京都方面に向けて曲がり、目の前に逢坂の関(おうさかのせき)を迎える眺め。

この絵を見るのは前回大津に来た時に続いて2回目ですが、やはりいい。自然と気合も入る感じ。

この京阪の路面線路もいい味出してますね。

と思っていたら京阪電車がやって来ました。ちょうど京町あたりで右にカーブし、路面線路と別れて軌道線路に変わるあたりに上栄町の駅があるんですね。

旧東海道はここでしばらく京阪と別れ、そのまままっすぐ進むと、やがてだんだんと勾配がキツくなり、逢坂の関越えとなります。

逢坂の関といえばもちろんこれ!

「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」

訳:昔はここに京への関所があったから、知ってる人も知らない人も、たくさんの人々がここを行ったり来たりしてたんだなあ。そこにはきっといくつもの出逢いや別れがあったんだろうなあ。逢坂の関なんていうくらいだから、ムフフな人の出逢いもたくさんあったのかなあ。だったら僕も逢瀬の場所としてここで誰かを待ってみようかなあ。

この歌の読み手、蝉丸さん。この蝉丸神社は、琵琶の名人であり、この逢坂の関に庵をむすんでいた蝉丸を祀った神社。

神社に祀られるほどすごい人なのに、「蝉丸」と聞くとなんだかイロモノの香りが漂ってしまうのは、やはりあの百人一首の坊主めくりの影響なのでしょうか?

僕の記憶だと、蝉丸=エロティックという記号で結びついてるんですけど、なんでだろ?若い時の何かの妄想?(笑)

ちなみに峠の頂上付近にこんなお店がありました。

この日本一のうなぎってのも相当なイロモノっぽいなーと思っていたら、大正時代に詩人の野口雨情がこの店に来て、箸紙に「ここのうなぎが日本一」的な歌を詠んだのだそうです。

雨情くんもいろんなところで結構やらかしてんなぁー

そしてここではうなくんの飛び出し坊やがお出迎えですね。

いよいよ京都へ

さて、この逢坂の関を越えると下りとなりますが、まだそこは京都ではなく、滋賀県内。

ずいぶん下って、国道一号から旧道に入ったあたりから、京都市と大津市の市境(というか京都府と滋賀県の県境)を行ったり来たりします。

このあたりは、旧東海道が県境となっていて、通りの片方は京都市、片方は大津市という町並み?

だとするとお向さんは他県というとても珍しいパターン。

さらに進んで四宮の町並みが現れると完全に京都に入り、やがて山科へ。

京阪山科駅は天井の立派なドームが特徴的。

山科って新幹線でもJR在来線でも京都の手前のトンネルとトンネルの間にあるので、相当な山の中かと思ったんですが、駅前はかなり栄えていて思ったよりずっと都会でした。

旧東海道沿いの山科の商店街でみた洋菓子店。このゴテゴテさからなのでしょうか、妙に気になって、しかもなんだか名店の香りがしたので戻ってから調べてみると、ローヌ本店というスイス菓子のお店で、チーズケーキがすごく有名なお店のようです。

山科の商店街を抜けると御陵という地名の土地へ。

御陵というのはもちろん天皇陵のこと。宮内庁が直接管理し、敷地もとてつもなく広いのです。

ここに眠っているのは天智天皇。正式名は山科陵(やましなのみささぎ)というそうです。

天皇陵には、独特の静けさがありますね。少し寄り道になりますが、旧東海道を歩くなら、ここは外せないですね。

御陵をすぎると、再び目の前に上り坂が現れます。

京都の市中までは日ノ岡峠という名の峠をもうひとつ越さなくてはならないのでした。

<2017年12月26日訪問> 最新の情報は公式サイト等でご確認ください。

次回、遂に最終回! Vol.53へ続く
< 【東海道五十三次ふらっと-flat-完歩】Vol.51 草津~大津宿編 大津は結構いい街だった、の巻

新着

新着

注目の記事

熊本県

日本情報

【阿蘇郡南小国町】黒川温泉周辺に登場した新施設やリニューアル店のご案内

黒川温泉(熊本県南小国町)とその近郊で最近新しくオープンした施設やリニューアルしたお店をご紹介します。どのスポットも黒川温泉街から車で約5~10分圏内にあるので、温泉巡りの合間に気軽に立ち寄れます。老舗旅館が手掛ける新店舗や、自然豊かな里山カフェ、地元食材にこだわったレストランなど、多彩な魅力が満載です。黒川温泉の新たな楽しみとしてチェックしてみてください。

栃木県

日本情報

渋滞を避けて早朝の奥日光の紅葉を楽しむ「SPACIA X NIKKO CRUISERが紡ぐ早朝紅葉鑑賞の旅」発売

2025年10月より日光エリアにおける新たな二次交通サービスとして、ハイグレード貸 切バス「SPACIA X NIKKO CRUISER」の運行を開始いたします。 運行開始を記念し、東武トップツアーズ株式会社では「SPACIA X NIKKO CRUISERが紡ぐ 早朝紅葉鑑賞の旅」を企画、2025年9月12日(金)より発売いたします。

全国

イベント

戦後80年。先人達が命懸けで遺した”普通の日常”の尊さを想う。映画「雪風 YUKIKAZE」2025年8月15日(金)より全国公開。

「生きて帰る 生きて還す」
多くの命を救い続けた、駆逐艦「雪風」の史実に基づく物語『雪風 YUKIKAZE』が戦後80年の節目となる2025年8月15日、全国公開される。公開に先立ちソニー・ピクチャーズ試写室でマスコミ先行試写会が行われた。

太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」。戦場で海に投げ出された多くの仲間の命を救い帰還させ、戦後まで生き抜き「幸運艦」と呼ばれた雪風と、激動の時代を懸命に生きる人々の姿を壮大なスケールで描く。

主演は「雪風」の艦長・寺澤一利を演じる竹野内豊。先任伍長・早瀬幸平を玉木宏が演じるほか、奥平大兼、田中麗奈、石丸幹二、益岡徹など実力派俳優が共演。そして戦艦大和と運命を共にした帝国海軍・第二艦隊司令長官、伊藤整一を中井貴一が圧倒的な存在感で演じ切る。

時代が再び、分断と暴力に揺れる現代。本作は「同じ過ちを繰り返す道を歩んではいないか」と、彼らが命をかけて守りたいと願った”今”を生きる私達に問いかける。戦後80年、戦争の記憶が薄れゆく今だからこそ、尊い平和の価値を未来に繋ぐ作品『雪風 YUKIKAZE』を多くの方にご覧いただきたい。

広島県

芸術

下瀬美術館「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展/インタビュー後編:吉村良介氏, 高橋紀成氏, Mario Christiano氏, Stefano Pesce氏

2023年に広島県大竹市に開館した下瀬美術館。厳島、瀬戸内海に面し、世界的建築家である坂茂(ばん・しげる)氏が設計を手がけた当美術館は、2024年12月に「世界でもっとも美しい美術館」としてヴェルサイユ賞を受賞し大きな注目を集めた。

この下瀬美術館で「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展2025年4⽉26⽇(土)から7⽉21⽇(⽉・祝)が開催され、開幕10日で来場者数1万人を越え、同館最速の記録となり盛況を博している。

1980年〜2000年生まれのアジアの若手アーティストの作品群により構成される本展はヴェルサイユ賞受賞を記念して行われる特別展示であり、下瀬美術館にとって初の現代芸術展というチャレンジングな展示でもある。

前編に続き、下瀬美術館の代表理事を務める吉村良介氏、同じく下瀬美術館のボードディレクター高橋紀成氏、そしてイタリアNo1ギャラリーGalleria ContinuaオーナーMario Cristiani氏、Mark Tobey財団ディレクター兼アートアドバイザー/Stefano Pesce氏のインタビューをお届けします。

広島県

芸術

下瀬美術館「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展/インタビュー前編:チーフキュレーター齋藤恵汰氏

2023年に広島県大竹市に開館した下瀬美術館。厳島、瀬戸内海に面し、世界的建築家である坂茂(ばん・しげる)氏が設計を手がけた当美術館は、2024年12月に「世界でもっとも美しい美術館」としてヴェルサイユ賞を受賞し大きな注目を集めた。

この下瀬美術館で「周辺・開発・状況 -現代美術の事情と地勢-」展2025年4⽉26⽇(土)から7⽉21⽇(⽉・祝)が開催され、開幕10日で来場者数1万人を越え、同館最速の記録となり盛況を博している。

1980年〜2000年生まれのアジアの若手アーティストの作品群により構成される本展はヴェルサイユ賞受賞を記念して行われる特別展示であり、下瀬美術館にとって初の現代芸術展というチャレンジングな展示でもある。

HYAKKEIは開催直後の当展を訪問し、チーフキュレーターである美術家の齋藤恵汰氏のインタビューを敢行。「日本の美術界に一石を投じる企画にしたかった」と語った。

ピックアップ

ピックアップ