雪深い地ならではの郷土食
秋田県発祥の郷土食いぶりがっこ。「がっこ」とは秋田の方言で漬物のこと。いぶした漬物という意味でいぶりがっこと言うようになったそうです。囲炉裏の上に大根を吊るして燻し、漬け込んで保存食にしたのがいぶりがっこのはじまり。秋田の山間部で、雪に閉ざされた長い冬の間の貴重な食べ物として各家庭でつくられ、親しまれている昔ながらの郷土食です。
そんないぶりがっこの本場の一つが横手市山内地区。山楽里では古くからの製法と味を受け継ぎ、保存料や着色料・香料を一切使用しないこだわりの「山内いぶりがっこ」を製造しています。
こだわりの黄金色
天井からずらっと吊り下がった大根たち。年に一度の仕込み時期である11月、「いぶし小屋」の中で大根を煙で燻している様子です。この小屋では、最大約2000本の大根を燻すことができるそうで、太いものは2~4日、細いものは2~3日燻します。大根の太さはもちろん、火の上、小屋の端など場所によっても色付きや乾燥具合が異なるため、見極めながら燻製時間を調整する、まさに熟練の技が光ります。
農業組合法人 山楽里 代表理事の佐藤健一さん
「広葉樹の薪だけで、黄金色っぽく燻すのがうちの特徴なんです」そう話すのは、山楽里の代表理事、佐藤さん。昔は、色が黒っぽく、ぐにゃっとしなるまで燻していたそうですが、これだと皮が硬くなってしまうのだとか。なので、より今の嗜好に合ったほどよい食感になるよう、”黄金色”に燻します。
また、山楽里のいぶりがっこは、すべて自分たちの畑で育てた大根を使っているのもこだわりの一つ。数ある品種の中でも「香漬の助(こうづけのすけ)」という、水分が多くパリッとした食感が特徴の大根を使っています。
厳選した材料でじっくり寝かせる
大根を燻したあとは、いよいよ漬け込み。添加物不使用で、厳選した素材でつくった秘伝の「漬け素(つけもと)」を使い、寒い場所で発酵の速度をできるだけ抑えながらじっくりと寝かせます。漬ける期間はおよそ60日。漬け込みの作業が終わるのは1月の年明け頃で、雪が降っている寒い中、漬け込んだ大根を水洗いし、いぶりがっこの完成です。
パリパリとした食感と燻製の香り 一度食べたらクセになる大人の味わい
いぶりがっこをおにぎりに混ぜて
いぶりがっことベーコンのクリームチーズ和えをクラッカーにのせて
スライスして、そのままごはんやお酒のお供として味わうのはもちろん、刻んでおにぎりに混ぜたり、ポテトサラダに加えたり、相性抜群のクリームチーズと一緒に味わうのもおいしいです。クセになる燻しの香りとパリパリ食感をお楽しみください。
「決して生産量は多くないけど、味はどこにも負けない」そう語る佐藤さん。添加物を使わず、昔ながらの製法と味を受け継ぎながらも、消費者に嗜好に合ったおいしさを日々追求されています。秋田の雪深い地域で生まれた燻しの漬物いぶりがっこ。そのクセになる味わいをぜひご堪能ください。
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